2014年7月30日水曜日

【研究紹介】②-文学部インド学仏教史研究室 吉水清孝 教授


 本学文学部インド学仏教史研究室の吉水清孝教授に話を伺った。吉水教授はインドの哲学派の一つミーマンサー(聖典解釈学派)を中心に、インドが古代から中世へ移行する時期における思想家の相互対立や当時の社会とのかかわりを研究している。インド学や東北大生の印象について伺った。




―インド学を専攻したきっかけは
寺に生まれたので仏教に関心がありました。日本の仏教はある程度は自分で調べることもできるので若いうちは遠くのことをと思い、仏教のルーツであるインドについて研究しようと思いました。また原典で使われているサンスクリット語はとても精密にできており、しかもインド人自身が古代に文法を解明していて、それを学びつつ文を解読していくのは楽しい作業です。さらに欧米人もインド文化を異文化として研究しており、彼らとも対等の立場で研究を進めていけます。
最初私は西洋哲学を専攻していました。インド学に転じたのは一冊の本がきっかけです。世界の名著というシリーズの第一巻『バラモン教典原始仏典』という本です。この本を読んでインドに論証学があることを知り、インドが超能力みたいな世界だけではないことを知ることができました。本との出会いは大切です。一人ひとりにとっての大事な一冊があると思います。3年生のときにサンスクリット語を受講し、4年生のときに転専修をしました。

―インド学の面白さは何でしょうか
インド学を通じて我々のルーツを知ることができます。ヒンドゥー教は、仏教を介して我々にも親しみがあるものです。またサンスクリット語はヨーロッパの言語と同じ語族に分類され、ヨーロッパとインドでは神話に共通性があるので、東アジア・ヨーロッパ世界双方とのつながりがあります。インド文化は類い稀な広がりのある世界なのです。

―学生時代はどのような生活でしたか
高校のときは油絵をやっていました。今はもう絵を描いてはいませんが絵画鑑賞は今でも好きです。

―東北大生の印象は
堅実で真面目な印象です。派手なパフォーマンスが求められがちな時代ですが研究は地道な作業の積み重ねです。先人の研究の蓄積に石を一つ積み重ねるような地道な努力を続けてほしいです。

―高校生へ一言お願いします
本学は自分のやりたいことが学べる大学です。図書館には戦前からのコレクションがあり蔵書が豊富です。また、東京の情報も容易に知ることができ、かつ東京の流行に流されない環境なので落ち着いて研究ができます。文学部への入学を考えている方は文学部の先生方が『人文社会科学講演シリーズ』という本を出しているので是非読んでください。

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