2014年7月30日水曜日

【研究紹介】①-教養教育院現代科学・科学哲学担当 野家 啓一 総長特命教授

 7月30日・31日の二日間にわたって開催される本学のオープンキャンパス。高校生や受験生のみなさんは、あちこちで本学で行われる研究に触れることと思う。今回はそのうちいくつかの研究分野について先生方へインタビューを行った。本学を知る一助となれば幸いだ。



 哲学という学問の名前を知らない人は、恐らくいないだろう。しかし、「哲学とは何を研究しているのか」と聞かれると言葉に詰まる人がほとんどではないだろうか。今回は本学教養教育院現代哲学・科学哲学担当の野家啓一総長特命教授に、哲学研究室ではどのような研究をしているのかについて話を伺った。

 本学文学部では2年次より各研究室に配属される。哲学研究室に配属されてすぐは、カント、ヘーゲル、ハイデガーのような西洋の古典的哲学の文献を読み込む。このとき文献は全て原書で読むため、1年次の第二外国語、特にドイツ語やフランス語の修練は必須である。これは哲学のみならず、人文社会系の学問全てに通じることだという。

 ただ文献を読むだけでなく、読んだ内容について他人とディスカッションすることが重要であると野家教授は語る。「自分の解釈と他人の解釈が食い違うことはよくあるが、それらはどちらも誤りとは言えないことがほとんど。重要なのはディスカッションの中で議論や思考のプロセスを身に付けることだ」と野家教授。

 基礎的な文献を読み終えたあとは、自分なりに疑問や関心を持つテーマを見つけ出し、それを研究していく。哲学といっても様々な分野があり、例えば野家教授の専攻する科学哲学はおおまかにいうと「科学とは何か」ということについて研究する学問である。また、過去には「絶対について」というような形而上学的テーマで研究をした学生もおり、多種多様な研究をすることができる。

 「研究のためには幅広い視野が必要。そのために2年次までに文系は理系の、理系は文系の勉強をしておくべき。それ以降はどうしても専門的な分野のみを勉強することになり、狭い視野では自分の研究対象と社会との関係が見えなくなる」と野家教授は幅広い視野を持つ必要性を強調した。研究それ自体を目的化するのではなく、その研究と社会とがどう結びつくかを考えることが重要であるという。

 野家教授は「10代や20代はまだ失敗をしても取り返せる時期。好奇心を持ち、失敗を恐れずにチャレンジしてほしい。特に海外に目を向けて、自分がいかに小さい存在かを知ることは重要だ」と高校生に向けてメッセージを送る。哲学は難しそうだと考える人も多いかもしれないが、一度学んでみるのも良いだろう。

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