2014年7月30日水曜日

【講義紹介】⑤-基礎ゼミ(1)最先端技術で脳を科学する

 東北大学に入学すると基礎ゼミと呼ばれる全学教育が行われる。自分の受けたい講義を全170種以上の中から選べるのだ。



 今回筆者が紹介するのは「脳画像から見るヒト脳の加齢、疾患、認知力」という基礎ゼミである。この講義は主にMRI等で撮影した脳画像をもとに脳の発達、疾患や加齢に伴う認知力の低下などを学び、考察する。さらにNIRS(ニルス)と呼ばれる脳の働きを見る装置を用いて実際に生徒たちが実験したり、認知力について知るために心理学まで勉強したりすることができる。

 この基礎ゼミの魅力は、脳科学について教授が最先端で研究している内容を生で実感できることだ。中でも人間が深い符号化処理をした場合、記憶能力が向上する性質に関して研究した「符号化方略」という分野の講義は印象的であった。情報を記憶する際、それがサバイバル状況に必要かどうか判断するだけで記憶力が上がったという教授の実験結果がある。講義中でそれを試し、実際にその通りになったから、これには筆者も驚かざるを得なかった。NIRSという道具については、聞いたことのない人の方が多いと思われる。そうした点では、このような珍しい体験をするのも良いのではないか。

 基礎ゼミの講義名だけ見ても難しそうに思われるかもしれないが、決してそんなことはない。講師陣の方々が懇切丁寧に、わかりやすく講義をしてくれる。実際、筆者の学部は工学部であるものの、難しいと感じたことはほとんど無い。脳科学に興味があれば、医学部でなくても問題ないだろう。

 基礎ゼミは大学四年間を通して一度しか受けることが出来ないので、よく考えて決めて、有意義な時間を送ってほしい。

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